10.勇者Xmasを巡る冒険
どーも丑寅です。
師走でも忙しくないウシトラです( ¯•ω•¯ )
【前回までのあらすじ】
武器もない地図もない第50世代の丑寅が単身、丸腰裸足で暗黒の森を突破するアドベンチャーワールド。
丑寅は難攻不落のこの森を抜けるため、大切な武器を置き、要らぬ装備を捨て必要最低限の装備で出発することを決意する。
【イベント攻略 クリスマス】
密売商人から魔法薬ヤドリギを手に入れた。
(ヤドリギについては後ほど語る)
時はXmas。
勇者はイベントの攻略法を探すため『かつての書』を辿り記憶の川をポロロッカ。
Xmasに過去の自分巡りをするお話は、ご存知ディケンズの『クリスマス・キャロル』
強欲でケチでエゴイストな主人公スクルージ爺ちゃんが過去を巡って変わっていく。
悔いても残念な自分は変えられない。
でも未来の自分は変えられるんだぜ?という強いメッセージを感じるXmasの奇跡のお話。
普通の人生を送りたい、平和で心穏やかな年末を過ごすため、丑寅は過去の自分からヒントを探そうと記憶の川をいかだで遡る。
小さい時のクリスマスは毎年おなじ。
必ずケーキはふたつ。クリスマスイブの朝届く。
おばあちゃんちは和菓子屋さんで、和菓子屋さんの長女だった祖母は、職人さんに頼んで好きなように和菓子を作ってもらっていたらしい。
餡子入れずに黄身餡だけで作ってとお願いできる環境、羨ましすぎる( ¯•ω•¯ )
その実家が、クリスマスには洋菓子を作って親戚に配ってくれるのだ。
それが一つ目のケーキ。
白くて甘い生クリームと苺、チョコのプレート。サンタのロウソク。
もうひとつは父の友人のケーキ屋さんが届けてくれる。大きくて丸くて、やっぱり真っ白の生クリームに苺。チョコのプレート。サンタのロウソク。
シンクロした2つの双子のデコレーションケーキは、ゴージャスで私を幸せな気持ちにした。
あの頃は、凝った味や飾りなんかなくて、みーーんなおんなじだった。
そんな環境だったため、外で初めてバタークリームというものを食べた時『???』
頭にクエスチョンが並んだ。
見た目そっくりなのに、まったく味が違うこのクリームはなんぞや??
それくらい同じクリスマスが毎年毎年繰り返されたのだ。
違うクリスマスは東京が運んできた。
やっぱ東京や。
トレンディドラマのよーな、松任谷由実のような、片岡義男のような、オシャレなXmasがバブルの東京にはあった。
東京のホテルは全て満室。
ハタチの丑寅はといえば、寮のドライヤー室で、油絵を描いていた。
その頃にはひと夏の恋が終わっていたのである。寮にはカッコいい車が連なり、ドレスに身を包んだオサレな読モ女子を迎えに来る。
私はといえば、半纏を着て床に直接座り、油臭いキャンバスをやけくその如く塗ったくりながら、東芝のウォーキーでロックを聴いていたのだ。
お前はなにイキってんの?という恥ずかしさである。
ジュウクのクリスマスはまだマシだった。
おともだちと精一杯のオシャレをし街へ繰り出し、流行りのクラブDのクリスマスパーチーに行ったのだ。
が、そこで田舎者は愕然とする。
『え、肩出しドレスなん?』
『え、寒くないん?』
クラブにいたみんなが着ている薄いキラキラした布地と濃いめの化粧が眩しくて、黒いウール地の自分のワンピースが恨めしい。
(一応ボディコン)
(うーーむ、私には軽さがない)
そんな打ちのめされたクリスマスの記憶が一転して、アオハルな素敵クリスマスになったのは、無論、新しい彼ができてからである。