25.勇者2020悪魔との契約を切る
どーも丑寅です。
いきつ戻りつこの川なんの川?
まさか三途のじゃあるまいな?寝言は寝ていえ。ウシトラです。
何とか渡ったその先にコブラが口開けて待ってるんじゃないの?
【前回までのあらすじ】
20代で克服した暗黒の森を再び脱出しなければならなくなった第50世代ウシトラの苦難と修行の物語。
ファットマンとの闘いを制したウシトラが次に立ち向かうのは!?
【何度も取り逃してきたオオモノ】
始まりは、24歳であった。
そいつは友のような顔で『ア゙ア゙ア゙』と擦り寄ってきたのだ。
その時から四半世紀超え。
そいつとは切っても切り離せない関係だった。
そいつを介して知り合った仲間もいれば、そいつのお陰で乗り切れた夜もあったのだ。
閉じ込められた箱の中で極限まで追い詰められていた24歳のウシトラは、うっかり、禁断のそいつの手を握ってしまう。
1度結んだ契約は、身体を犯し続け、血管を快感が駆け巡り、二度と陽の光を見られない身体に変えてしまうものであったのだ。
30歳で妊娠し、そいつの顔を見ることさえおぞましくなったというのに、仕事に復帰したとたん、そいつが恋しくなるほどの凄まじい契約魔法であった。
ウシトラが最も恐れていたことは、ファットマンとの闘いが再燃することであった。
そいつ恋しさのあまり、他のヤツらで、なんとか求める心をなだめすかし誤魔化そうとする自分の弱い姿が目に浮かぶ。
大量のケーキや美味しいクッキー、ショートニング、アップルパイ、モンブラン、イチゴパフェが身体を通過する未来が見える。
欲しがれ欲しがれ。耳元で声がささやく。
いかんいかん!
しかし、そんな情けない自分とようやくおサラバするときがきたのである。
きっかけは特にない。
機が熟しただけなのだ。ただ春が巡ってきたからなのだ。
そして丑寅は負けるのが嫌いなだけだ。
意志の力でファットマンを退治したのだ。
今こそ、宿敵『相撲王(スモーキング)』を倒す時が来たのである。
逃げてばかりいたけど、だって勇者だもん。
しかし、勇者は伊達に勇者ではない。
強き者は頭を使わねばならぬ。
己の弱さを知る者、すなわち最強。
よって、ウシトラは隣国に援軍を要請。
3月に到着した援軍とともに、一気にスモーキングの城に攻め入ったのである。
これは敵の姿ではない。援軍チャンピックスである。
副作用を抑える仲間と
呼び寄せた援軍の魔力は強力ゆえに、丁寧な注意書きがある。
万が一間違えた日には、もののけ姫でエボシが早く起こし過ぎた秘密兵器みたいにドロドロになるやもしれぬ。
指示通り援軍を使うのみならず、見よ、このマーカーを。
使役するにあたり、真面目に取り組み手帳に成果を書き記す。このウシトラの姿は、仲間の感銘を呼び、全米が泣いた。世界中から嗚咽が漏れ全ての国王が喪に服したほどである。
丑寅よ、お前はよく頑張った。
2週間援軍のお世話になったものの、3月末には、丑寅は宿敵スモーキングを制したのである。
この闘いにより、ウシトラも多くの傷を負った。
闘いの代償として、頭にいくつもの500円ハゲができたのである。